ディスコ探偵水曜日 下
2009.01.10 *Sat
![]() | ディスコ探偵水曜日 下 (2) (2008/07) 舞城 王太郎 商品詳細を見る |
ディスコ探偵水曜日。
書き下ろしの下巻です。
以下はネタばれになります。
上巻では、名探偵による怒涛の連続推理をへて真相に辿り着いたディスコ。
意志の力を得ます。
これによって時空を自由に行き来できるうえ、空間も自在に操作できるようになるという意表を突いた展開です。
そんなファンタジックとも思われる展開は、下巻に続く壮大な伏線でした。
もはや時空という舞台を使い、複雑な謎が扱われていきます。
タイムトラベル要素を持ったミステリの様相を呈してきた感があります。
目を見張るのは、タイムトラベルを詳細に考察しながら扱っている点。
これについては枝分かれ論や運命既定論はよく使われますが、ここではより細部に留意しながら時の折り曲げやら逆行、世界の果てなど、更に複雑な構造が頻出していきます。
冒頭で出て来る定常宇宙、膨張宇宙、振動宇宙の各論もそのための伏線になっていました。
そうとう綿密なプロットになっています。
読むだけでもそれなりに頭を働かせる必要があるので、これを書くとなるとどれだけ頭を回転させればいいのでしょうか。圧巻です。
本書はそれなりに長編なので読むのに時間が掛かりますが、それだけの時間を使う価値があると思います。
この内容の本には、舞城氏を除いてはまずお目にかかれないでしょう。
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